元航空関係者が語る・ボーイング社の737MAX問題

ボーイング 株式投資

2020年2月2日、2019年通算の営業損益状況、777Xについて、現在の航空業界で求められているもの追記しました。

先日、こんな記事がでました。
ボーイング、737MAX過失を初めて認める CEOが議会証言で謝罪

ボーイング、737MAX過失を初めて認める CEOが議会証言で謝罪

ニューズウイーク

のんこ個人的には結構すごいことだなと思いました。
それを踏まえて、元空飛び職人のんこがボーイング社の737MAX問題を見ていきたいと思います。

※ちなみに、この見解はいち個人的なもので有るため、皆様の株取引には参考になさらないよう願いいたします。

ボーイング社737MAX問題とは?

ボーイング社の737MAX問題とは、昨年2018年10月29日、インドネシアのジャワ海でライオン・エア610便(ボーイング737MAX 8型機)が離陸後約10分で墜落、乗客乗員189名全員が死亡した事件と、2019年3月10日、エチオピアのアディスアベバ、ボレ国際空港より離陸したエチオピア航空302便(ボーイング737MAX 8型機)が、離陸後約6分で墜落し、乗客乗員157名全員が死亡した事件を指します。

半年も経たないうちに2回も事故を起こし、乗客乗員全員が死亡したという大惨事です

2つの事故があまりにも酷似していたため、737MAXの安全性が疑われるようになりました。

その後、各国から運行停止命令がだされ、2019年3月14日には全世界の空から消える形となりました。

その際のボーイング社の反応は?

運行停止命令が各国からだされ、3月14日には全世界の空から消えたボーイング737MAX。

その後、ボーイング社は737MAXの納入を停止したと発表しました。ただし、生産は継続しています。
ボーイングMAXの引渡再開すれば航空機の余剰発生も=専門家

追記:2020年1月より737MAXの生産は停止となりました。
米ボーイング、737マックス生産停止へ 運航再開は認められず

なぜ、こんなにも大惨事を起こした機体が引き続き生産されているのか、それはボーイング社の現在の機体受注数と納入数に関係してきます。

ボーイング社の機体受注数と納入数

下記の表を見てください。

ボーイング社で現在のところ、最大受注数を獲得しているのがボーイング737NG(ニュージェネレーション)、その次にボーイング737MAXが続くようになっています。
他の機種と比べても受注数の数が違いますよね。

そして、ボーイング737NGはすでに殆どが納入済みで、まさにこれから737MAXの時代がやってくるというわけでした。

つまりこの737MAXはボーイング社にとっては主力商品となっており、これが売れないということはものすごく痛手になるということです。

そのため、生産をやめるわけにもいかず・・・なのだと思います。

追記:2020年1月より737MAXの生産は停止となりました。
米ボーイング、737マックス生産停止へ 運航再開は認められず

他の機体で運行すれば良いんじゃない?

じゃぁ、他の安全な機体で運行すれば良いんじゃない?と思う方もいるかと思います。

それが結構難しいのが航空関係なんだと思います。

例えばですが、ボーイングのライバル、エアバスも良い機体を出しています。
このボーイング737MAXに対応する機体としてエアバス320neoがあります。

この事件を受けて各航空会社ではボーイング737MAXをキャンセルして、エアバス320neoの導入を検討している・もしくは導入予定の会社もあります。


思い切った選択だな〜とは思いますし、各会社思い切ってエアバスを導入する!と踏み切れればよいのでしょうが、なかなかそうも行かないのでしょうね。

なぜならば、ボーイングからエアバスに変更すると、それに伴って新しいパイロットの確保、クルーのトレーニング・ライセンス取得、整備関連、空港関係、と様々なところに変更が出てき、今まで準備したことが水の泡になるからです。

これはのんこが思いつく限りであげてみたので、実際にはもっっっっっっっと大変だと思います。

ちなみに、以前勤めていた会社では、パイロットはエアバス・ボーイングどちらの免許もあるけど、仕事で運転するのはエアバスだけ、ボーイングだけとなっていました。
エアバスとボーイングでは全然違うシステムになっているのでとっさの判断を求められたときの為にそうなっているのかと思います。

また、クルーも新しい機種が導入となった場合、最初からトレーニングを行い、ライセンスの取得が必要となります。(マイナーチェンジの場合は必要ないこともあります)
また会社にもよるかと思いますが、自分が飛べる機体が決まっている会社もあり、その機体を飛ばせる分だけのクルーを確保+余剰人員も確保と考えると、本当に大変だと思います。

なので、各社できる限り、変更はしたくない、変えたくても、もう今さら変更出来ないというのが本音だと思います(ちなみにこれはただの個人的解釈、意見ですので、本当はどうかはわかりません。ここ強調しておきます笑)

追い打ちをかけるように737NGにも問題が

そして追い打ちをかけるように737NGにも問題が発生しています。
ボーイング38機に亀裂 737NG、機体修理へ

ボーイング38機に亀裂 737NG、機体修理へ

産経新聞

2019年10月、旅客機「737NG」810機を世界的に検査したところ、38機で修理と交換が必要な亀裂が見つかったと報じています。
対象機は修理が終わるまで運航を停止。

これは737MAXの事故とは関係無いようですが、同737シリーズということで不安は隠しきれないですよね。

そんな中、ボーイングはどうにかして737MAXを飛ばしたい

この記事を御覧ください。
米航空3社、ボーイング737MAXデモ飛行へ 安全性アピール

米ボーイングの新型旅客機「737MAX」の安全性を顧客にアピールするため、米航空3社は同機に自社の幹部を乗せてデモ飛行を実施する計画だ。

WSJ

そんな中、ボーイングはどうしても737MAXを飛ばしたい・飛ばして安全だと証明したいようです。

なかなか思い切ったことを行いますね。
米国の会社のことは米国の会社が尻拭いをするという感じでしょうか。

確かに、航空会社もいつまでたっても737MAXを飛ばせないよりは、安全ですというアピールが出来、飛行再開させてくれた方が会社としては良いですものね。

ちなみにそんなボーイングを「空飛ぶ棺」と比喩している方もいらっしゃいました。
米ボーイング、安全より利益優先と非難され 米上院公聴会

追記:
結局このデモを行ったという記事を見つけることができなかったので、こちらはデモ飛行はなかったのかと思います。
まぁ、実際に飛ばすパイロットやクルーも仕事だとはいえ、万が一のことがあるので、嫌だとは思いますが。。。

追記:2019年の通算営業損益は赤字に転落

2020年1月29日に発表された、2019年度の業績は過去最高だった前の年から一転して、最終赤字に転落しました。
米ボーイング社 最終赤字に転落 2度の墜落事故影響

生産調整に加え、各航空会社への補償などで経費がかさみ、最終的には赤字となってしまいました。
関連企業では人員整理も始まっているようです。

また、ボーイングは787ドリームライナーの生産を月間10機へと追加削減する計画も明らかにしています。
これは痛手ですね。

追記:777Xが初飛行を成功

ただ、悪いニュースばかりではありません。
ボーイングは2020年1月25日に開発中の大型機ボーイング777Xの初飛行を成功させました。
777Xが、初飛行。

これは嬉しいニュースだとは思います。

納入開始は2020年の年内を計画しており、日本の航空会社では、ANAが、777-300ERの後継機として777-9を20機確定発注しており、2021年度から受領する見通しとなっています。

ただ、この777Xという機体は受注数は約320機程度となっており、5000機受注していた737MAXとは受注数がかけ離れています。

これは現在の航空業界で求められているものが大きく関係していると思います。

追記:現在の航空業界で求められているもの

2000年だいの航空業界は次世代中型旅客機の時代とも言われており、中型の機体でより長く、そして燃費良く飛ぶ機体が求められています。

またLCC航空の増加により、満席にできるのは小型機〜大きくても中型機と世界の需要は小型機・中型機に集まっています。

ちなみにエアバスは2階建ての大型機A380を開発しましたが、これはエアバスの考えの違いからです。
エアバスは世界のハブ空港に大型機で大量に人や物を運び、底から各小さな空港に再度人や物を運ぶのが今後の世界スタンダードになると考えていました。
しかし、実際に蓋を開けてみると、世界で求められていたのは中型機でより長く、そして燃費良く飛ぶ機体でした。
そのため、A380は2021年をもって生産終了となる予定です。

ちなみに余談ではありますが、私もA380に乗務していましたが、まぁ大変の一言でした笑
機体が大きすぎて、お客様の数も多いので、通路を歩くと必ず捕まります笑
乗務員も1機体につき30人以上必要となり(学校でいうと1クラスですよ!)誰が誰かわからないという状況もありましたね笑

つまり、777Xが成功したからといっても、業界で注目されるような機体ではないということになります。

また、少し古い記事とはなりますが、2018年に発表されたこちらの記事では、今後20年で4万3000機近いレベルの旅客機が必要になると予測されており、その中の73%がシングルアイル機体だと言われています。

飛行機には通路が1本(単通路)の機体と、通路が2本(双通路)の機体があります。
通路が1本のことをシングルアイル(単通路)と呼ぶのですが、その通路が1本の機体が世界からは求められているという事です。

主にLCCや中国・アジアの航空会社の成長がシングルアイルの機体を牽引しているようです。

要はそのシングルアイル=小型機が成功しないと業界の求められているものに対応できないということです。

まとめ

飛行機の開発には莫大なお金がかかっており、この737MAXを飛ばせないということはボーイング的にはありえないことなんだろうな、と一個人では思います。

そして、世の中の飛行機はエアバスかボーイングなので、どちらかを使うしか選択がないというのが現状でもあります。
一連の事件はその現状に甘えが出てしまったのでしょうか。。。
それでも、大勢の方がなくなっているのでそんなこと言っているわけにはいかないと思いますが。。。


また、737MAXの引き渡しが再開すれば今度は余剰在庫問題が発生する可能性もと専門家は言っており、一難去ってまた一難。
ボーイングはどうやってこの状況を切り抜けるのでしょうか?

ボーイングはダウ銘柄にも組み込まれており、アメリカの国にも影響を与える企業ではあるので、どこかのタイミングでトランプさんが助けの手を差し伸べるのではとも思います。
それが発生するのか、発生してもいつになるのかはわかりませんが。

ボーイングは好きな会社でもあるので、ぜひとも頑張ってほしいですね。




※こちらの記事は個人的見解です。投資の参考にはなさらないでください。

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